「好き」が人を動かし、経済を動かす時代
「ファンダム経済」という言葉を聞いたことがありますか?
少し難しそうな言葉ですが、実は私たちの身近なところで急速に広がっています。
好きなアイドルを応援する。
好きなアニメのグッズを買う。
スポーツチームを応援する。
好きなアーティストのライブに行く。
YouTubeやSNSで好きなクリエイターを応援する。
こうした「好き」という気持ちが、商品購入、イベント参加、SNSでの発信などにつながり、さらに企業や地域まで動かしていく。
それが、ファンダム経済の大きな特徴なんです。
実際、日本では「推し活」が幅広い年代に広がっています。財務省も、主要16分野の「オタク」市場が2020年度から2024年度にかけて約50%拡大したと紹介しています。(財務省)
では、なぜ「好き」がこれほど大きな経済を生み出すのでしょうか?
1.ファンダム経済って、そもそも何?
まず「ファンダム」という言葉から見てみましょう。
ファンダム(Fandom)とは、同じ人物や作品、ブランドなどを好きなファンによって形成されるコミュニティや文化圏のことです。
例えば、
• アイドルのファン
• アニメ作品のファン
• スポーツチームのファン
• ゲームのファン
• アーティストのファン
• YouTuberや配信者のファン
などがあります。
ここで大切なのは、ファンが「商品を買うだけの人」ではないこと。
ファン同士で情報交換したり、SNSで作品を紹介したり、イベントに参加したり、時にはファン自身がイラストや動画を作ったりします。
つまり、
「消費する人」から「一緒に盛り上げる人」へ
変化しているんです。
これがファンダム経済を理解する重要なポイントです。
2.「推し活」がなぜ経済になるのか?
例えば、あるアイドルを「推している」人を考えてみましょう。
最初は曲を聴くだけだったとしても、
「もっと応援したい」
という気持ちが生まれると、行動が広がります。
例えば……
CDや配信を購入する
↓
ライブに行く
↓
グッズを買う
↓
SNSで感想を発信する
↓
友人に紹介する
↓
新しいファンが増える
という循環が生まれます。
さらにライブに行けば、
• 交通費
• 宿泊費
• 飲食費
• 周辺での買い物
などにもお金が動きます。
つまり、最初は「好きなアーティストを応援したい」という気持ちだったものが、周辺のさまざまな産業にも波及していくわけです。
実際、ファンダムは単なる消費にとどまらず、ファンによる発信や共創によってIP(知的財産)を支える仕組みとして捉えられています。(Deloitte)
3.ファンダム経済のすごさは「参加」にある
従来のビジネスでは、
企業が商品を作る → 消費者が買う
という一方向の関係が基本でした。
ところがSNS時代になると、この関係が変わってきました。
企業やクリエイターが作品を発表する。
ファンが楽しむ。
そしてファンがSNSで感想を発信する。
その発信を別の人が見て、新しいファンになる。
さらにファン自身が動画やイラストなどを作ることもあります。
つまり、
企業・クリエイター → ファン
だけではなく、
企業・クリエイター ⇄ ファン
という双方向の関係が生まれます。
デロイト トーマツも、ファンが「受動的な視聴者」から「能動的な共創者」へ変化している点を、ファンダム経済の重要な変化として説明しています。(Deloitte)
ここが、従来の「ファンビジネス」と大きく違うところなんです。
4.具体例で考えてみよう
例えば、ある地方のサッカーチームがあるとします。
チームが試合をする。
ファンが観戦する。
ここまでは普通ですよね。
しかし、ファンが増えると経済の動きは広がります。
ファンの行動
• チケットを買う
• ユニフォームを買う
• スタジアムで飲食する
• 遠方から宿泊して観戦する
• SNSで試合を紹介する
• 地元のお店を利用する
すると、チームだけでなく、
飲食店・ホテル・交通機関・グッズ販売店など
にも経済効果が波及します。
つまり、ファンダム経済は「ファンと企業だけ」の話ではありません。
地域経済を動かす力にもなり得るわけです。
5.学生にも関係するファンダム経済
「ファンダム経済なんて、企業や芸能界の話でしょ?」
そう思う学生さんもいるかもしれません。
でも、実は身近なところにあります。
例えば、好きなゲームについて友達に教えたとします。
「このゲーム、面白いよ」
それを聞いた友達が興味を持つ。
その友達がゲームを始める。
さらにSNSで感想を発信する。
こうしてファンが増えていく。
これは、小さなファンダムが生まれる過程とも考えられます。
重要なのは、
「好き」という気持ちは、他人に伝わることで価値を広げる可能性がある
ということです。
これは将来、マーケティング、商品企画、広告、コンテンツ制作などの仕事を考えるうえでも重要な視点になります。
